化学物質過敏症とは、「過去にかなり大量の化学物質に一度曝露された後,または長期間慢性的に化学物質の曝露を受けた後,非常に微量の化学物質に再接触した際にみられる不快な臨床症状」と定義されている環境病の一種です。

さまざまな種類の化学物質に体が反応し、重症になると日常生活に支障をきたし、学校や会社に行けないといった通常の生活すら困難になります。

まったく異常がなかったのに突然発症する花粉症と同じように、誰もが突然発症者となるリスクがあります。

化学物質過敏症は、何らかの化学物質に大量に曝露されたり、微量でも繰り返し曝露された後に発症するとされています。

化学物質への反応は個人差が大きいため、当然ながら同じ環境にいても発症する人としない人がいます。

「今日、推計で5万種以上の化学物質が流通し、また、わが国において工業用途として届け出られるものだけでも毎年300物質程度の新たな化学物質が市場に投入されています。化学物質の開発・普及は20世紀に入って急速に進んだものであることから、人類や生態系にとって、それらの化学物質に長期間暴露されるという状況は、歴史上、初めて生じているものです」[出典:環境白書]

その一方で、いま出回っている化学物質の75%は基本的な毒性テストの結果すら公開されていないとされています。

生活のしやすさを追求するために化学物質を開発し利用していくことが優先され、安全性の検証は後回しにされることがほとんどです。

こういった背景から、環境ホルモンや化学物質過敏症といった、昔にはなかった問題が表面化してきています。