ここ数年で香害(こうがい)という言葉を耳にすることが増えてきました。

香水などの香りが「不快」を超え、健康被害を訴える声が実際に増えてきています。

中でも多く取り沙汰されているのが衣類の柔軟剤です。

香りで気分を高める効果がある一方で、吐き気などを訴えるケースも多く、消費者団体が開設した「香害110番」には「他人の洗濯物の香りがつらい」といった“通報”が相次ぎ、メーカー側も「使用の際は周囲に配慮を」と呼びかけています。

その香害110番では過去に2日間限定で開設した際に、計213件の訴えが寄せられたそうです。

最も多かったのが、近隣の洗濯物の香りについてだったということもあり、消費者庁やメーカー側に対応を求める方針とし、担当者は「予想以上の反響。『香りの好み』ではなく、健康に関わる問題だ」と強調している。

柔軟剤は本来、生地の質感を柔らかく保つための仕上げ剤でしたが、国民生活センターによると、以前は微香タイプが主流だったそうです。

ところが、10年ほど前に香りの強い海外製品がブームになったのをきっかけに、芳香性を強調した製品が増加しており、その頃から、同センターには柔軟剤による体の不調を訴える相談が増えたそうです。

同センターが、柔軟剤に関する相談内容を公表すると、同様の相談がさらに急増した。各メーカーは、対策としてテレビCMなどで「香りの感じ方には個人差があります。周囲の方にもご配慮のうえお使いください」などと表示。製品やホームページに、香りの強さを表記するようにしたが、相談件数は高止まりしている。

使い方の問題も浮き彫りになっている。洗剤メーカーなどでつくる日本石鹸洗剤工業会が27年に行った調査によると、2割近くが規定の2倍以上の量を使っていたことが分かっりました。

過剰使用の一因について、同工業会担当者は「同じ香りをかぎ続けて嗅覚が鈍り、香りが弱くなったと感じて量を増やしてしまうのでは」と推測し、「使い過ぎは、強い香りで周囲に迷惑をかけ、衣類の吸水性も下げる。良いことは何もない」と注意を呼びかける。同工業会は、香りの強さを確認し、使用量を守る「香りのマナー」を引き続き啓発していくこととしています。